FP1級 2022年5月 応用編 問55
Aさん(46歳)は、企業の安全性を重視して、長期的なスタンスで投資したいと思っている。具体的には、製造業の上場企業X社に興味があり、下記の財務データを参考にして、投資判断を行いたいと考えている。また、投資信託についてはYファンドとZファンドの購入を考えている。Aさんは、X社株式や投資信託の購入にあたり、NISAを利用してみたいと考えている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈2024年3月期のX社の財務データ等〉(単位:百万円)
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈2024年3月期のX社の財務データ等〉(単位:百万円)
- 中間配当の権利確定日:2024年9月30日(金)
- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問55
《設例》の〈X社の財務データ等〉に基づいて、Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。- 「財務的な安全性を測る指標である流動比率は(①)%です。流動比率が良好であっても、流動資産の大部分が棚卸資産であれば、実質的に支払能力は劣るということになります。そこで、流動資産から棚卸資産を除いた(②)比率を用いることで、さらに厳密な分析を行います。一般に、(②)比率は100%以上が望ましいとされています」
- 「財務的な安全性を測る指標である固定比率は(③)%、固定長期適合率は□□□%です。固定比率は100%以下が理想とされますが、固定長期適合率が100%以下であれば、通常、安全性に大きな問題があるとは考えません。なお、固定長期適合率が100%を大きく超えるようであれば、危険な状態であり、安全性に問題があると判断しますが、設備投資額が大きい製造業などであれば、水準が高めになる傾向があります」
- 「財務的な安全性を測る指標であるインタレスト・カバレッジ・レシオは(④)倍です。この数値が高いほど金利負担の支払能力が高く、財務に余裕があることを示しますが、同業他社と比較することをお勧めします。また、単年の数値だけではなく、過去のトレンドを把握することで、財務体質が悪化しているか否かを判断することが大切です」
①% |
②比率 |
③% |
④倍 |
正解
① 126.63(%) |
② 当座(比率) |
③ 215.03(%) |
④ 5.47(倍) |
分野
科目:C.金融資産運用細目:5.株式投資
解説
〔①について〕
流動比率は、流動負債に対する流動資産の割合を示す指標で、「流動資産÷流動負債×100」の算式で求めます。流動比率が高いほど短期支払い能力は高いと評価され、200%以上であれば安全性に問題なしとされます。
680,000÷537,000×100=126.629…%
(小数点以下第3位四捨五入)126.63%
よって、正解は126.63(%)となります。
〔②について〕
流動資産から現金化しにくい棚卸資産を除いたものを当座資産といいます。流動資産に対する当座資産の割合である当座比率を分析することで、流動比率よりも厳密に企業の短期支払い能力を評価することができます。一般的に当座比率が100%以上であることが安全性の目安となります。
よって、正解は当座となります。
〔③について〕
固定比率は「固定資産÷自己資本×100」、固定長期適合率は分母に固定負債を加えた「固定資産÷(自己資本+固定負債)×100」で求めます。X社の固定資産は1,073,000、自己資本は純資産額から「新株予約権」と「非支配株主持分」の2つを除いた額ですが本問ではどちらもないので純資産額そのままの499,000です。したがって、固定比率は、
1,073,000÷499,000×100=215.030…%
(小数点以下第3位四捨五入)215.03%
よって、正解は215.03(%)となります。
〔④について〕
インタレスト・カバレッジ・レシオは、借入金などの利息の支払い能力を評価するための指標で、事業利益が金融費用(支払利息・割引料)の何倍であるかを以下の算式で求めます。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=事業利益÷金融費用
事業利益は、本業の収益である営業利益に金融収益を足した額です。金融収益とは、営業外利益のうち受取利息・受取配当金・その他投資利益等の合計です。
X社の事業利益は「39,000+400+2,000+5,100=46,500」、金融費用(支払利息のみ)は8,500なので、インタレスト・カバレッジ・レシオは、
46,500÷8,500=5.470…倍
(小数点以下第3位四捨五入)5.47倍
よって、正解は5.47(%)となります。
流動比率は、流動負債に対する流動資産の割合を示す指標で、「流動資産÷流動負債×100」の算式で求めます。流動比率が高いほど短期支払い能力は高いと評価され、200%以上であれば安全性に問題なしとされます。
- 流動負債
- 1年以内に支払いが到来する負債で、買掛金、支払手形、短期借入金、未払税金など
- 流動資産
- 1年以内に現金として回収できる資産で、現預金、売掛金、受取手形、棚卸資産など
680,000÷537,000×100=126.629…%
(小数点以下第3位四捨五入)126.63%
よって、正解は126.63(%)となります。
〔②について〕
流動資産から現金化しにくい棚卸資産を除いたものを当座資産といいます。流動資産に対する当座資産の割合である当座比率を分析することで、流動比率よりも厳密に企業の短期支払い能力を評価することができます。一般的に当座比率が100%以上であることが安全性の目安となります。
よって、正解は当座となります。
〔③について〕
固定比率は「固定資産÷自己資本×100」、固定長期適合率は分母に固定負債を加えた「固定資産÷(自己資本+固定負債)×100」で求めます。X社の固定資産は1,073,000、自己資本は純資産額から「新株予約権」と「非支配株主持分」の2つを除いた額ですが本問ではどちらもないので純資産額そのままの499,000です。したがって、固定比率は、
1,073,000÷499,000×100=215.030…%
(小数点以下第3位四捨五入)215.03%
よって、正解は215.03(%)となります。
〔④について〕
インタレスト・カバレッジ・レシオは、借入金などの利息の支払い能力を評価するための指標で、事業利益が金融費用(支払利息・割引料)の何倍であるかを以下の算式で求めます。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=事業利益÷金融費用
事業利益は、本業の収益である営業利益に金融収益を足した額です。金融収益とは、営業外利益のうち受取利息・受取配当金・その他投資利益等の合計です。
X社の事業利益は「39,000+400+2,000+5,100=46,500」、金融費用(支払利息のみ)は8,500なので、インタレスト・カバレッジ・レシオは、
46,500÷8,500=5.470…倍
(小数点以下第3位四捨五入)5.47倍
よって、正解は5.47(%)となります。
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